算数数学の鬼門、分数についてのお話です。
とりわけ小学校算数での難関は、分数ではないでしょうか。分数のたし算、ひき算、かけ算、わり算。わり算は、分母と分子を逆にして計算しなければならない。「どうしても、そのやり方を忘れるんですよね。」また、約分もややこしい。どんな数でわればいいのか、なかなかそれも間違えてしまう、そして、通分は、、、
そんなことを思う小学生は多くないでしょうか。
また、分数って、数としての(0.333…)という扱いもすれば、割合として用いることも多いと思います。こんなことの区別をしながらの計算なので、小学生にとっては、何が何だかわからない状況になるのは当然でしょう。
なぜ、分数がわからないのか、分数の計算がなぜできないのか、そんなことを考えてみます。

長年、算数数学の指導をしていて思うことは、何かにつけ理由が必要ということにとらわれがちになる、ということではないでしょうか。
例えば、7+5って、12ですよね。これを説明すると、7に何を足せば10になるかというと、3です。だから、その3を5からもっていって10にして、その残り2があるから12になる。
こんな説明ができますが、そんなことを考えて、私たちは計算しているわけではありません。もっと感覚的に計算していることが多くないでしょうか。
私の場合、7という数字を見たとき、5に毛が二本生えているようなイメージがあり、その7に5をたすと、5と5で10、そして、その二本の毛が2で、12というようにでると思います。後々考えればそんなふうに説明できますが、無意識に、自覚のないままに、12と答えています。
数を、学校では、ブロック図、線分図、数直線などの半具体物で説明していますが、そんなものをいちいち持ち出し、イメージして計算していることはありません。すべては、具体的なものを、数という抽象化されたものに感覚で処理しています。どんぐりのようなものを思い浮かべる、丸いもの、四角いもの、アメーバのようなもの、得体のしれないもの、人それぞれでしょう。大切なことは、そうしたイメージ、数的感覚を持っているかどうかです。もともと数字は、具体的にあるものを抽象化したものです。しかし、具体的なイメージ、数感覚があっての抽象化です。それを無理やり、線分図に置き換え、理屈でこれがこうだからこうなるという説明では、正しい感覚を培うことは無理と思っています。7をどう見ているか、12という数字がどんなイメージであるかです。
分数の話からそれてしまいましたが、分数とて同じことです。例えば、1/3をどうイメージしますか。「3つに分けた1つ分」と言葉ではいえますが、その言葉だけでは、1/3を理解したことにはなりません。ケーキを3つに分けた1つなので、少ないなあ、というイメージ、感覚もあれば、わける数がうえの数より大きいので、だるまさんのように1/3がみえ、上と下が釣り合っていないなあとみえるかもしれません。または、1つじゃない、とみえるかもしれません。要は、1/3と、イメージ、感覚が一致しているかです。
そんな分数を足したりひいたり、または、かけたりわったりなど、本当にむずかしいものです。「そうやって覚えればいいの!」と私たち大人は思いますが、純粋な子どもたちにとっては、「なんでそうなるの!」、「わからない!」ということになるでしょう。
理屈ではなく、分数のイメージ、感覚をもたせることがとても重要です。

次号は、もう少し具体的な問題で考えてみます。

<みずほ歳時記>
塾生も少しずつ増え、毎日が楽しくなってきました。子どもは人それぞれ、その子にどんな学習課題を与え、どう支援すれば伸びていくか、正直悩みます。適切な指導、必要な支援はどうあるべきか、本当に人に教えることはむずかしいと、改めて感じます。
しかし、それが楽しいということです。ここには、教育の枠はありません。わかるのであれば、どんなことでもできる、そんなところです。
これからの子どもたちの成長に、期待していてください。