私たち大人は、子どもによく、「勉強は大事だよ。」「勉強しなさい!」と言いますが、その勉強っていったい何なのか、どうすればいいのかです。つまるところ、「学習って何?」ということです。今日はそんな話をします。特別支援教育のお話をしますが、学習でつまずきを感じる場合、とても参考になります。学習とは、すなわち、脳の働きをよくすることです。

以前、特別支援教育コーディネーターを務め、ある研修「『遊びと発達』、気軽に取り組める感覚統合の学習会」に参加したときのお話です。

感覚統合とは,脳の働きです。字を書いたり,人の話を聞いたり,友達と遊んだりするときには,いろいろな感覚情報を脳が無意識に処理をします。感覚には,固有感覚(身体の動きや手足の状態の感覚),前庭感覚(身体の傾きやスピード

の感覚),触覚,視覚,聴覚などがあります。これらの感覚を,整理したり統合(まとめること)したりする脳の働きを感覚統合といいます。
例えば,友だちと鬼ごっこをするときは,自分の走っているスピードや友だちとの距離感などを感じる,友だちを目で追う,などいくつかの感覚情報を上手に処理する必要があります。意識せずそのようなことができて初めて楽しく遊ぶことができるのです。いくつかの情報を正確に処理できずに,とんちんかんな行動になると,みんなとのズレが生じることになります。

また,字を書くときは,ノートに書いている文字を目で追いながら,指先の動きの感覚や触覚などの感覚を上手く感じることが必要です。感覚の“感じ方に歪み”があると,字を書く動作はとても難しくなります。

このように考えると、学習1つとっても、いろいろな感覚が必要なのがわかります。学校の授業も、子どもたちにとっては大変な学習活動となっています。いろいろな感覚を使って、先生の話を聞かなければならない。黒板に何が書いてあるか見なければならない。先生の問いに応えなければ、挙手しなければならない。また、隣のクラスの声が聞こえてくる。先生の話を聞かずに遊んでいる子が目に入る。そんな情報を総括し、今の学習内容を理解するのは大変です。そうした状況の中で、学習とは何なのか。どうあるべきなのかを考えていかなければなりません。

では、学習とはなんでしょうか。
それは、つまるところ、見て学ぶこと、聴いて学ぶこと、ノートに書いて学ぶこと、発言しながら学ぶこと、その組み合わせた活動といってよいでしょう。これは、学校の授業を考えればわかります。もっと言えば、家庭でも、学習塾でも、どこでもそういった学習が大切になります。

では、どんな学習がよいでしょうか。次回、またお話しします。